ホームシアター

■ 手軽になったホームシアター
ほんの数年の間に、究極の趣味と言われたホームシアターがあっという間に庶民のレベルに降りてきました。私が最初にホームシアターを手がけた時には、プロジェクターはまだ、3管式の巨大なもので、価格も現在のプロジェクターの10倍から20倍以上もするものでした。
液晶やDLP方式の安価で高性能なプロジェクターが出てきたおかげで、比較的ローコスト
マウスを写真に載せるとスクリーンが降ります
なシアターが組めるようになってきました。しかしながら、テレビと違って、本来は部屋という大きな空間を利用しての装置であることから、折角の投資もその能力を出すことが出来ていない事が多いようです。また、設置した機器のために、折角のインテリアが電気屋さんの店先に近い状態にもなりかねません。こうしたことを踏まえて、これからのホームシアターは建築と一体化した計画が重要になってきています。
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■ プロジェクターの設置
最近のプロジェクターはいろいろな機能があって、とても取り扱いやすくなって来ています。プロジェクターも手軽に使えるように設置場所の自由度を持たせるために、映像の台形補正という機能があります。

確かに、ビジネスシーンでは理想的な位置に機械を置けない場合があり必要な機能なのですが、実はこの機能は、画像を歪んで投影している分だけ反対方向に画像処理的に歪ませて修正する仕掛けになっています。ですから、正規の四角な投影パネルの中に入る台形で本来の画像を全て映しているため、映像の品質が落ちているわけです。

但し、最近の機種ではレンズにより像を強制的に歪ませるシフト機能が可能なタイプも出てきています。この場合には映像品質の劣化もかなり少ないので選定には注意が必要です。最近竣工した蓼科の家ではこのタイプ使っています。


ホームシアターのように機器を固定して使用する場合は、出来るだけ機器本来の理想の投影位置に設定することが望ましいわけです。私が、シアターを設計する場合も、初期の時点からこの、プロジェクターの位置を部屋の断面に書き込んで計画します。当然プロジェクターとスクリーンとの位置関係もインテリアの重要な要素です。

出来ればプロジェクターも普段は見えないようにもしたいものです。さらに隠しても、球替え等のメンテナンスはやりやすくする必要があります。また見えてしまう場合は、デザインの一部に組み入れるようにすることです。右下の例は巨大な3管式のプロジェクターを家具調のカバーで覆った例です。ガスダンパーでカバーは下に下がり、機器のメンテナンスが出来るようになっています。